人工内耳-その使命と今後の大きな可能性

ライフサイエンス業界に特化した人材紹介を行うリアルライフサイエンスは、人々の人生に大きな影響を与えることのできる本業界の一員であることを常に誇りに思っています。弊社のビジネスアプローチの根幹には"InspiredByYou"という考え方があり、業界で働く方々にご自身の人生に影響を与えたエピソードをお伺いし、個々を動機付ける要素を発見することを通じて、皆様の情熱をサポートしています。

今回、採用のパートナーとしてリアルライフサイエンスをお選びいただいている日本コクレアの清水博行代表取締役社長に、コクレア社の使命や製品の認知度を高めていく上での挑戦、そしてそれらを打破していくために求める人材像についてお伺いしました。清水氏は医療機器業界にて豊富な経験を持ち、2013年から日本コクレアの代表取締役として、事業の拡大及び優秀な人材獲得に向けて企業の舵取りを行っています。


  • コクレア社とその製品について

コクレア社は主に人工内耳の開発・製造・販売を行う企業です。オーストラリアに本社を置き、日本支社である日本コクレアは1989年に創業しました。現在コクレア社の製品は世界100か国以上で販売されており、3500人ほどの従業員を抱えています。人工内耳においては世界でトップシェアを誇ります。

人工内耳とは、音を感じ取る器官である内耳の役割を代替し、難聴がある人々に音が聴こえるようにするための人工臓器です。聴こえを助けるための機器としては補聴器が広く知られていますが、補聴器での効果が不十分な方にとっては人工内耳は効果的な聴覚改善法といえます。人工内耳は体外装置(下図①)と体内装置(下図②)の2つが組み合わさることで機能します。体外装置が外部の音声を拾ってデジタル信号に変換し、その信号を頭皮下に植込まれている体内装置が受信します。体内装置はデジタル信号を電気信号へと変換して電極へ送り(下図③)、電極を通じて音を聴き取るための器官である蝸牛(下図④)に刺激を伝えることで聴神経から脳に伝わり、音声として認識されます。


日本では1985年に最初の人工内耳手術が行われ、1994年から保険適用が開始となりました。保険適用がない場合、手術は400~450万円ほどの負担となるため、保険適用の開始によって人工内耳装用が現実的な治療法となったということができるでしょう。

清水氏は「日本コクレアが創業してからの30年間で、約1万人の方にコクレア社の人工内耳を装用していただいています。難聴の方の聴こえの質を向上させ、社会とのつながりやQOLの向上を手助けしたいと考えています。また、難聴の治療方法として人工内耳があるということをより多くの方に理解していただくことを使命としています」と話します。


  • テクノロジーの進化による製品の進化

「人工内耳の基本となる技術は開発当時から変わっていませんが、テクノロジーの進化に伴って機能の追加やアップデートは随時行っています」と清水氏は語ります。実際に、最新の製品ではスマートフォンと連動させて電池の残量や聴こえの状況を確認したり、体外装置をなくしてしまった際に最後にスマートフォンと通信を行った場所を特定して探すことができたりといった機能が備えられています。また、周囲の状況によってノイズをカットするなどして聴こえを最適化する機能に加え、レストランのようなざわついた環境において後方ノイズを強制的にカットし前方の方との会話に集中できるフォワードフォーカス機能も提供しています。


清水氏は「コクレアでは、売り上げに対する研究開発への投資の割合が12%強と、医療機器業界の中でも高い割合を誇っています。装用者様は一度コクレア社の人工内耳の植込み手術を行うと、その後一生のお付き合いとなるため、できるだけ便利に、そして快適に使っていただけるよう、製品の改良に日々取り組んでいます」と話します。


  • 認知度向上という大きな壁

WHO(世界保健機関)の調査によると、現在世界全体で約4億6千万人が何らかの形の難聴を抱えています。清水氏いわく、「人工内耳を装用することで難聴が改善できると考えられている人は世界で750万人ほどいると考えられていますが、実際に人工内耳を装用している人はそのうちの5%程度に過ぎません。日本ではその割合は3%未満だと推定されています。」装用率の低さの背景には、人工内耳の認知度の低さがあると清水氏は話します。「認知度については、プロフェッショナル、すなわち難聴治療を行う医師や病院などの機関における認知度と、患者さんの間での認知度を分けて考える必要があるでしょう。

医師にとっての認知度でいうと、日本耳鼻咽喉科学会に登録されている耳鼻咽喉科医師は約11000人ですが、耳科医は約3000人で、人工内耳に携わっている医師はその1割程度と思います。難聴の患者さんに対して医師が人工内耳という治療法を提案するには、人工内耳について理解をしていただく必要があります。」

また、難聴の患者さんにとっては、難聴が先天性のものか後天性のものかでも、人工内耳に出会う確率が変わってくるといいます。「先天性難聴の場合は、現在新生児聴覚スクリーニング検査が普及したことで、早い段階で難聴を発見することができるようになりました。その場合は基本的に専門医へと紹介が行われるため、補聴器もしくは人工内耳を使用した治療への道筋にうまく乗っていくことができるといえるでしょう。

後天性の難聴でも、病気や怪我に起因する難聴の場合、何らかの処置を求めて病院へ行くことが多いため人工内耳にたどり着きやすいと思われます。ただし、中途失聴の中で一番多い加齢が原因の難聴の場合、聴力が徐々に失われていくために自分で気づきにくいことに加えて、治療できる症状であるという認識が小さく、人工内耳で聴力が改善できるケースであっても耳鼻科で受診することにも至らない患者さんが多くいらっしゃいます。」と清水氏は続けます。

現在、65歳以上の人口の3分の1がなんらかの難聴を抱えていると言われており、2017年には国際アルツハイマー病会議(AAIC)において、予防できる要因の中で、難聴は認知症の最も大きな危険因子であるという指摘がなされました。加齢性の難聴を抱える層は人工内耳にとって潜在的に非常に大きな需要を秘めており、今後認知度の向上によって市場の拡大が期待できると考えられます。

清水氏は「人工内耳の認知度を上げるため、現在も個別の難聴者向け相談会を開いて医師の先生方に難聴に関するお話をしていただいたり、人工内耳の装用者に経験談を語ってもらったりする相談会を定期的に開催しています。これが有効な手段であることはわかっているのですが、現在日本に人工内耳が適用できる患者さんは40万人を超えると考えられており、その全員に対してこのアプローチを行うのは手間と時間がかかりすぎるのも確かです。今後、効果的であることに加えて、どのように効率的に認知度の向上に取り組んでいくかが私たちにとっての主なチャレンジとなるかと思います」と話します。


  • 今後の戦略

「視力の低い人が眼鏡をかけるのと同じような気軽さで、聴力を補う必要のある人が補聴器や人工内耳を当たり前のオプションとして選べるような世界になっていくことを心から願っています。コクレア社の製品の認知度を上げる様々な活動をするには能力あるタレントの獲得が重要だと考えています」と清水氏は語ります。「日本コクレアは現在50人ほどで、決して大きな組織というわけではないので、ひとりひとりのリーダーシップが非常に重要な役割を果たすことになります。戦略的な思考に加えて実行力があり、変革や困難なことを克服してきた経験がある方で、私たちの使命に共感していただける方を歓迎したいと考えています」。

難聴者の生活の質を向上させるという大きな使命を掲げ、事業拡大に取り組むコクレア社。安定した経済基盤と大きな潜在的需要により、今後ビジネスの拡大が予想されます。それに伴って個人のスキルセットの獲得や昇進も可能です。コクレア社の使命や活動に共感された方、またご自身の成長の機会をお探しの方がいらっしゃいましたら、私たちリアルライフサイエンスまでお問い合わせください。私たちのウェブサイトLinkedInページでも医療機器業界の最新情報をお届けしております。ぜひご覧ください。 

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